就労支援サービスの中には「就労移行支援」と「就労継続支援」の2種類があります。
「就労移行支援」では、主に就職準備として就労に必要な能力やスキルを習得する支援を行います。
「就労移行支援」についてはこの記事で解説しています!
参考記事:就労移行支援とは?
「就労継続支援」では一般企業への就職が不安・困難である方を対象に、実際の就労機会の提供などを行います。
「就労継続支援」は、就労体験やインターンシップみたいなものなんですね♪
この「就労継続支援」の中には
・雇用契約を結び利用する「A型」
・雇用契約を結ばないで利用する「B型」
の2種類があります。
この記事では「就労継続支援B型」について詳しく解説していきます。
また、こちらの記事では「就労継続支援A型」について解説していますので、気になる方はこちらもご覧ください。
就労継続支援A型との違い
A型、B型2つの就労継続支援の最大の違いは「雇用契約の有無」と「年齢制限」にあります。
就労継続支援A型の利用者は、企業や事業所と雇用契約を結んで一般雇用者とほぼ同内容の就労に従事することになります。一般雇用者との違いは勤務する時間が短いことや、障害や傷病に対しての配慮を得られることを除いてはあまり無く、給与もそれぞれの自治体の最低賃金を下回る様なことはありません。
また、就労継続支援A型は原則「18歳以上65歳未満」の方を対象としており、誰でも利用できる訳ではありません。
一方就労継続支援B型の利用者は、企業や事業所とは雇用契約を結ぶことなく、比較的身体的・精神的負担の少ない軽作業に従事することになります。具体的なお仕事内容については事業所によって様々ですが、「雇用契約を結ばない=雇用ではなく訓練」といった側面があるので、他の就労支援制度だけでは就労が困難な方が利用することになります。
就労継続支援B型では作業に対する報酬はもちろん発生しますが、「給与」ではなく「工賃」と呼ばれるのが一般的です。雇用契約を結んでいないので最低賃金等の制約は無く、得られる工賃はA型と比べても比較的低いです。
ですが一般雇用やA型と比べ、ご自分の障害や症状に合わせて自由に働くことができることが最大のメリットでしょう。事業所側もサポート体制を用意して受け入れてくれますので、比較的重度の障害をお持ちの方でも安心して働くことができるでしょう。
また、就労継続支援B型には年齢制限がなく、どんな方でも要件さえ満たせば利用することが可能です。
これらの特徴から、就労継続支援B型については「就労」では無く「訓練」といった認識を持っておくと理解がしやすいのではと思います。
・就労継続支援B型には年齢制限がない。
雇用契約を結ばない「訓練的な就労」ができる。
就労継続支援B型のお仕事内容や工賃について
就労継続支援B型では、具体的にどんなお仕事ができるの?
ではここからはその内容について詳しくみていきましょう♪
就労継続支援B型のお仕事内容
就労継続支援B型事業所でのお仕事内容は働く企業や事業所によって様々ですが、具体的には下記のようなお仕事が挙げられます。
・農作業
・清掃
・ピッキング作業
・クリーニング作業
・お菓子やお惣菜の製造
・スーパーマーケットでの商品陳列
・倉庫整理
思っていたよりいろんなお仕事があるんだね!楽しそう!
近年では、動画編集などのクリエイティブな仕事も増えてきています。
単純作業だけでなく、就労を通して高度なスキルや能力を身につける機会もたくさんあるでしょう。
勤務時間
働く時間や日数は、事業所やお仕事の内容によって様々です。就労継続支援B型はA型よりも比較的利用者の状態に合わせた柔軟な対応が可能ですので、事業所と相談した上で無理のない時間や日数で働くことができます。
工賃(給与)
令和元年度における就労継続支援A型とB型の工賃(給与)を比較するとこのようになっています。
- 就労継続支援A型事業所:78,975円(月額)/887円(時間額)
- 就労継続支援B型事業所:16,369円(月額)/223円(時間額)
A型とB型では工賃(給与)に結構差があるんだね。
確かに差がありますが、B型ではその分障害に対する配慮と手厚いサポートがあると考えると納得できますね♪
参考:障害者の就労支援対策の状況(厚生労働省)
就労継続支援B型の対象者は?
就労継続支援B型を利用できる要件
就労継続支援B型を利用できる対象者は、下記のいずれかに当てはまる方です。
・就労経験があり、年齢や体力の面で、一般企業に雇用されることが困難になった方
・50歳以上の方
・障害基礎年金1級を受給している方
・就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面の課題が把握されていてが行われていて、かつ就労継 続支援B型事業所を利用する方が適切だと判断された方
就労継続支援B型は、一般的な雇用や他の就労支援制度では就労が難しいと判断される方のために用意されている制度です。ですので基本的には「過去に就労の経験がある」ことが要件として重要視されます。原則として、例えば特別支援学校に通っていた方が卒業後すぐにB型を利用することはできず、「就労移行支援」等の支援制度の利用を勧められたりすることがあります。
これらの要件に当てはまらないと思われる方でも、支援を受けられるケースがあります。まずはお住まいの市区町村窓口に相談してみましょう♪
参考:厚生労働省「特別支援学校卒業者等に係る就労継続支援B型利用の取扱いについて」
就労継続支援B型の利用期間と料金
利用期間
就労継続支援B型では、利用期間の上限は設けられていません。ご自分のペースに合わせてゆっくりと時間をかけながら、トレーニングを重ねることができます。
例えば「就労移行支援」では2年の利用期間が定められていますが、「こういった支援制度を利用してみたけれど就労に繋がらなかった」といった方でも、就労継続支援B型なら焦らずに支援を受け続けることができます。
利用料金
就労継続支援B型の利用には、他の就労支援制度と同じく利用料金が発生します。
具体的な料金については、自治体や事業所を利用する日数によって変動するので様々な場合が考えられます。
ただ、市区町村からの補助金で利用料金の9割を補ってもらえますので、自己負担は1割で利用することができます。また、その自己負担についても上限金額が設定されていますので、ご家庭の収入状況によっては自己負担無しでの利用も可能です。
自己負担上限月額の区分については、他の就労支援制度と同じく下記の表のようになっています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(※1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(※2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者を除く。(※3) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
- (※1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯。
- (※2)収入が概ね600万以下の世帯。
- (※3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」となります。
- 「世帯収入」の算出には、本人及びその配偶者の収入が考慮されます。
まとめ
就労継続支援B型は、他の就労支援制度では就労が難しい方のために用意されている制度です。
ですので、「色々と頑張ってきたけどうまく行かない・・・」と落ち込んで諦めてしまう前に、とりあえずお住まいの自治体や支援事業所へ相談してみることをお勧めします。
障害や病気の状況に合わせた臨機応変な支援が期待できる制度なんですね!
こういった支援をしっかり活用して、本格的な就労へのきっかけにできると良いですね♪